《ロジスティクス》
Vol.2 定温倉庫 清和海運の場合
取材のため定温倉庫内に入っていくと、出会うスタッフ一人ひとりが、明るく「こんにちは」とあいさつしてくれる。清和海運の“お人柄”を垣間見たような気がした。そんな心づかいは、来訪者にだけでなく取扱いワインにも向けられているにちがいない。フォークリフト・スタッフ、ピッキング・スタッフ、検品スタッフ、それぞれがいきいきと活動的で、彼ら彼女たちが働く庫内にはチリひとつ落ちていない。
「食品飲料を扱うのですから、いわゆる5Sは徹底しています」と、祝井谷支店長は話す。清和海運における5Sとは整理・整頓・清掃・清潔、そして誠実の頭文字をとった職場環境づくりのことだ。
それは一連の作業にもあらわれていた。入庫の際、ドックシェルターからのデバンニング、通関、検品、棚入れ、ロケーション登録まで一気通貫の連携作業で、お客様の要望によっては緊急の出荷にも対応しているという。これも「5S」のたまものだろう。
銘柄、ビンテージ違いで数千もの品数を扱っていながら、誤出荷を防ぎバラ入出荷にも対応できているのは、現場も事務方もワインの識別能力と在庫管理能力を十分に蓄積してきた証しであり、寄託するインポーターにとってはこれほどの安心感はないのではないか。ワイン保管のための定温倉庫は単に器を提供するだけでなく、人なのだ、ということを改めて認識させられる。
その器だが、ワインにとってはまさに最高の環境が用意されていた。
空調ダクトが天井を走り、そこからの冷気は庫内にくまなく行き渡るだけでなく、下部に設けられた空気取入れ口より再び吸引され、庫内を循環させるしくみだ。また、サーキュレーターが10台設置されており、エリア全域、上層下層のかたよりなく平均温度14℃の温度管理が実現する。また、湿度管理についても庫内全域が60〜70%に保たれているという。聞けば、加湿機器では濾過した純水を用いており、クリーンな庫内環境づくりには相当なこだわりを持っている。
取材同行してくれた山﨑チーム長も「このような取組みを評価していただけるお客様にご利用いただきたいです。AEO認定通関業者でもありますし、自社倉庫だからこそリーズナブルな独自サービスも提供できると思っています」と、熱く語る。ワインの取扱いをはじめて約20年。クライアントとの安定的な契約がつづくのも、その信頼性ゆえのことだろう。
清和海運株式会社京浜支店
川崎市川崎区東扇島29-5
Tel.044-287-0921
担当:山﨑・窪田
《ロジスティクス》
Vol.1 定温倉庫 新興海陸運輸の場合
総合物流サービスを提供して67年、早くから食品のノウハウを蓄積してきた。輸入貨物でも食品は別格だ。厳しい品質管理が求められるからだ。
「ワインを扱うようになったのは40年前。当時、インポーターも受入側の物流もノウハウがないので、吹いている(液漏れ)ボトルもいっぱいあったと聞いています」と現・社長西川さんは振り返る。
これではいけない、こんな商品を消費者にお届けできない。そんな消費者目線から新興海陸運輸のワイン物流へのチャレンジが始まった。
「通関業務からお引き受けし、入庫、荷捌き、保管、出庫まで、一貫したリーファーシステムでお応えできるのがわが社の強みです。ワインは品種が多いので、検品含め専任スタッフの存在も欠かせません」
それは鮮度へのチャレンジでもあった。
国際物流におけるセキュリティと円滑化をはかるため国が導入したAEO制度に対し、いち早く名乗りをあげ、通関業務と保税倉庫業務のふたつで認定承認を受けた。コンテナの貨物を外気にふれさせず、そのまま倉庫に搬入できるドックシェルター・プラットフォームも、鮮度への挑戦のひとつだ。また独自開発のロジナビは、貨物登録・オーダー毎の番地管理を容易にし、お客様からの出庫オーダーにも素早い対応を可能にした。
庫内環境の良さも特筆に値する。庫内を案内していただいたが、ワインは清潔で整理もゆきとどいた静かな環境で大切に蔵置されている。ワインの保管によいと言われるLED照明にもなっていた。
そのうえ冷気を均一にするため、送風ダクトにも工夫をこらし、半円の形状の上部からゆっくりと落ちるようにしているという。温度湿度は庫内全域でつねに15℃・70%前後に保たれている。温度管理に関しては、さらに徹底するためRWAの温度監査サービスの導入を決めた。
東京湾と都心をむすぶ最適な立地にあって、ワインの専門的な知見をもつ新興海陸は、いまRWAが提唱する「コンディション追求」の最前線を走っている。
新興海陸運輸株式会社
東京都品川区八潮2-2-9
Tel.03-5755-7566